レンタルサーバーやSSL関係のお役立ちコラム

さくらのホームページ教室

遅い?いえ、普通に速い、いや爆速のさくらのレンタルサーバを実現するコンテンツブースト機能とは?

2020年6月10日、さくらのレンタルサーバではWebサイト高速化機能であるコンテンツブーストをリリースしました。今回のコラムではこのコンテンツブーストの魅力に迫ります!

コンテンツブースト機能とは? 

コンテンツブーストとは、CDN(Content Delivery Network)サービスであるウェブアクセラレータとさくらのレンタルサーバの連携をものすごく簡単に行えるようにした機能です。 

ポイントとしては、簡単にびっくりするぐらい高速化!です。 

[詳しくは機能ページをご覧ください]
https://rs.sakura.ad.jp/function/contentboost/

コントロールパネルからドメインを追加するだけ、ネームサーバー等の設定なしに完了する簡単さです。 

CDNってなんなのか知りたい 

CDNとは、簡単に言うとレンタルサーバーの代わりにデータ配信をしてくれるサーバーのことです。データはキャッシュとして300秒間キャッシュサーバーに保持され、レンタルサーバーまでアクセスが届かずにCDNから配信されます。これまでも、「一気に大量にアクセスが集まりやすい」サイトで使われてきました。最近では、SNSの普及などもあって「バズり」が予想できないため、特殊な商用サイトではない個人のブログ、アフィリエイトサイトでもCDNを利用している方が増えています。 

コンテンツブーストでは「高速化」を大きくフィーチャーしていますが、「安定化」も非常に大きなメリットです。コンテンツブーストを利用することで転送容量、サーバーの過負荷とは無縁になり、ページ表示が高速化するとともに、どれだけアクセスが来ても落ちない「高い安定性」も実現します。 

他社のアクセラレーター的機能との違いを教えてほしい! 

WordPress等の動的CMSで作られたサイトを高速表示するには様々な方法があります。 

サーバーのスペックを引き上げる 

これはキャッシュと異なりサーバー自体を新しくしてしまう方法です。中小規模のサイトでは最も効果的ですが、その分サーバー価格が高くなり、月額料金が高くなってしまいます。また、サーバースペックを引き上げてもそれを上回る負荷がかかるとサイトの表示は遅くなってしまいます。共用レンタルサーバーの多くは可用性の高い複数台構成にはなっていないため、料金が高いからと言ってどんなアクセスでもさばけるわけではありません。 

キャッシュサーバーを設置する 

CDNと似ていますが、レンタルサーバーの設備内に物理的、もしくは仮想のキャッシュサーバーを設置し、そこでコンテンツをキャッシュします。サーバースペックを上げるより簡単ですが、あくまでレンタルサーバーの設備内での対応のため、帯域の上限などはレンタルサーバーと同等である場合が多いです。 

キャッシュプラグイン 

WordPressのキャッシュプラグインには、同じサーバー内に静的ファイルを保存したり、データベースへの問い合わせ結果をキャッシュしたりするものと、Webサーバー(nginxやLiteSpeed等)側のキャッシュ機能を制御するもの、CDNへのキャッシュを制御するものなど多岐にわたります。 

一般的によく使われるキャッシュプラグインは同じサーバー内に静的ファイルを保存するタイプですが、この場合はキャッシュがない時よりはレスポンスは速くなるものの、負荷が高まった場合、キャッシュサーバーやCDNを利用するときよりも早く限界を迎えてしまいます。このため小規模サイトの普段の高速化に適しています。 

コンテンツブースト(≒CDN)を利用することによって、既存のコンテンツを既存のサーバーのままで高速・安定配信することができるようになります。別のサーバーでキャッシュすることからハードウェアスペックやネットワーク帯域も専用のものが割り当てられ、圧倒的な安定性、高速表示を実現することができるわけです。 

本当にコンテンツブーストでWebサイトの表示が速くなるの? 

適切に設定が行われており、ページの総容量が大きすぎない限りはほとんどのサイトでページ表示は高速化します。現在、WordPressなどのCMSを使っていてページ表示に数秒かかっている、特にTTFB(最初のHTMLがサーバーから返ってくるまでの時間)が数秒といった場合、実際の例では1秒程度かかっていたものが、20ms(ミリセカンド)まで短縮されました。もちろん、Webサイトの表示遅延はサーバー側だけの要因ではありませんので一概には言えませんが、キャッシュを作るためプラグイン断捨離などをしなくとも、ページ表示が高速化できるのは非常に大きなメリットがあります。 

一方、ページ内の画像に非常に解像度の高いものが使われていたり、YouTube動画を埋め込んで強制再生していたりすると、せっかくコンテンツブーストを利用してもページ表示が高速化されない場合もあります。コンテンツブーストを使ってもサイトの表示がどうしても高速化されない場合、サポートサイトの記事を参考にチェックしてみてください。 

[コンテンツブースト機能で思うように表示が高速化されない]
https://help.sakura.ad.jp/360000338406847/

大量アクセスが来ても503や504エラーは出ない? 

コンテンツブースト機能の裏側を提供しているウェブアクセラレータでは、異常気象時や地震発生時にアクセスが集中する天気情報サイトや、テレビでの紹介時にアクセスが一気に増加する遊園地など、突発的にアクセスが集中するサイトでご利用いただいています。コンテンツブーストでも同じインフラを利用していますので、レンタルサーバーでは処理できなかった大量アクセスも、適切にコンテンツブーストが設定できていれば処理することが可能になりました。もちろん、503、504エラーが出る可能性は格段に減ります。 

また、常時アクセス数の多い人気サイト、ブログ、コーポレートサイトなども、これまでハイスペックなサーバーへ乗り換えるといった対応しかできませんでしたが、スタンダードプランのまま高負荷、高トラフィック対応ができます。 

Web制作会社でクライアント向けにサイトを提供している方などは、突然サイトが見えなくなった!とクライアントから連絡が来ることがなくなるので、保険的な意味で利用されているお客様も多くいらっしゃいます。 

デメリットはあるの? 

CDNを利用するデメリットは、キャッシュされたデータがリアルタイムに更新できない点にあります。コンテンツブーストでは300秒をキャッシュ時間に設定していますので、「あ、記事の中の商品価格を間違えた!」と気づいて修正してから反映まで最大300秒かかります。もちろんコンテンツブーストにはキャッシュ削除機能がありますので、レンタルサーバコントロールパネルからキャッシュを削除することができます。 

また、コンテンツブースト機能では、ネームサーバーの仕様上の都合で「 www.example.com 」といったwwwのサブドメインがついたWebサイトでのみ利用可能になっています。今のところ、 example.com といったネイキッドドメインで利用したい場合は、さくらのクラウドで提供しているDNSとウェブアクセラレータを組み合わせて利用する必要があります。さくらのクラウドで提供しているDNSでは、サブドメインなしのネイキッドドメインでもCNAME的な挙動ができるALIASレコードに対応しています。 

もしくは、さくらのレンタルサーバでは同時にドメインリダイレクト機能をリリースしておりますので、この機会にwww付きのドメインに変えてしまうことも可能です。ドメインのwwwは、現在Chromeブラウザで自動的に非表示になるため、ついていてもついてなくても見た目のアドレスバー表示は一緒になっています。 

[ドメインリダイレクト機能の使い方]
https://help.sakura.ad.jp/360000338406172/

コンテンツブーストでは、CDNのサーバーを全てのアクセスが通過するようになるため、キャッシュされなくてもお金がかかってしまうのもデメリットの一つです。コンテンツブーストを設定したら、キャッシュが有効になっているのか確認しておくことが大切です。 

[コンテンツブーストにキャッシュされているかの確認方法]
https://help.sakura.ad.jp/360000338406153/#03-01

料金について 

利用料金についてはサービス紹介のページをご覧いただければと思いますが、ざっくりご紹介すると、スタンダードとライトプランでは月間100GBまで無料になっています。また、300GBを超える場合も1GBあたり5円で利用できます。 

※価格はすべて税込です。 

[詳しくは機能ページをご覧ください]
https://rs.sakura.ad.jp/function/contentboost/

従量課金だとお金の使いすぎが怖い 

300GB以上は5円/GBと紹介しました。従量課金だとパケ死的な恐ろしさがありますが、コンテンツブーストではお支払い登録をしていただくと課金上限値を設定する機能があります。 

例えば、月400GBまで設定した場合は、100GB×5円で500円が請求金額になります。課金上限値を設定すると、想定以上のアクセスが来た際にコンテンツブーストが解除される可能性があるので、課金上限値は高めに設定しておくことがおすすめです。 

上限超過でコンテンツブーストが停止されると、自動的にレンタルサーバーからの配信に切り替わります。そのため、レンタルサーバーの仕様内での制限が適用されますが、Webサイトが見えなくなることは通常ありません。また、翌月になると自動的にコンテンツブーストが再設定されるようになっています。 

切り替えに時間はかかる? 

レンタルサーバーからコンテンツブーストに切り替える際、1時間程度ページ表示が不安定になる場合があります。DNSの設定変更やSSL証明書のコピーを行っている都合上、名前解決のエラーが表示されたりSSLエラーが出る場合がありますので、作業は余裕を持って行ってください。 

まとめ 

WordPressでもそれ以外のサイトでも、サイト表示の高速化や安定化は永遠の課題です。さくらのレンタルサーバのコンテンツブースト機能は、ドメインの制限があるものの、非常に簡単にCDN連携が設定でき、他社と比較しても格段に負荷耐性が高く速度的にもメリットのあるチューニングができるため、おすすめです。転送容量制限が一切なくなるのもポイントなので、これまで転送容量で悩んでいた方にもおすすめできます。繰り返しになりますが、スタンダード、ライトプランは100GBまで無料で使えますので、ぜひお試しください! 

執筆 谷口 元紀

さくらインターネット大阪本社勤務。さくらのレンタルサーバ、SSL/ドメイン、CDNのサービス企画を担当しつつライター、イベントでのスピーカーなども兼務。

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