レンタルサーバーやSSL関係のお役立ちコラム

さくらのホームページ教室

PHPのバージョンを変えるとサイト速度が速くなる?

WordPressサイトやブログで画像の軽量化に取り組んでみても思うようにサイト速度が改善されないなどでお悩みの場合、使用しているPHPのバージョンを変更することで高速化が期待できるかもしれません。

最初に結論

最初に結論ですが「WordPressなどPHPを利用して動的にWebサイトを生成しているCMSを使用している」場合に「PHP7以上のバージョンのモジュール版を利用する」事でサイト速度の高速化が期待できます。

Webサイトの表示速度について

Googleが提唱するCore Web Vitals(コアウェブバイタル)に代表されるように、近年はWebサイトの表示速度がより一層重要視されるようになりました。一方でWordPressといったWebページを動的に生成するCMS(コンテンツマネジメントシステム)の利用も年々増加傾向です。

この動的に生成するCMSはWebページとして表示する前にデータベース上の情報を呼び出す処理を行っているので、htmlファイルにWebページの掲載内容を直接記述したものを表示する静的サイトと比べて表示速度が遅くなります。高速化を求めている反面、便利さと引き換えに処理に時間のかかる手段を選んでしまっているのです。

では、この速度差を縮めるにはどうすれば良いか?その答えの一つがPHPのバージョンを適切なものに変更する事です。というのが今回のお話です。

実は様々な要素が絡む高速化

Webサイトの高速化を行うためにはPHP含むサーバー側の要素とHTMLや画像等のクライアント側の要素、両方の無駄を省いていく作業が必要になります。WordPressを利用している場合はテーマやプラグインもその範疇に入ります。さらに Core Web Vitals を意識するならば、初回ファーストビューのレンダリングにも気を使わないといけません。

今回はPHPのバージョンにのみ触れていますが、実際に高速化対策を行う場合は上記のような点にも目を配っていただければと思います。

PHPと高速化の関係

PHPはサーバー側で動作するプログラミング言語です。

Webページやブログの記事が表示される前に動作している裏方の役割なので、普段そのプロセスを目で見る事はありませんが、投稿した記事が自動的に最新記事として表示されるなど静的サイトでは出来ない事を実現してくれています。

PHPのバージョンによって処理速度が違う

PHPの登場は27年前の1995年です。何度かバージョンアップが行われ、現在ではPHP8系(バージョン8)が最新版です。バージョンが上がる毎に処理速度が高速化されており、PHP7系はPHP5系の2〜3倍の処理速度があり、PHP8.0は7系より若干高速化されているようです。またPHPには「CGIモード」と「モジュールモード」2つのモードがあり、後者の方が高速で動作します。

つまり、さくらのレンタルサーバをご利用のお客様は「PHP8.0(または7.4)」の「モジュールモード」の利用がおすすめ!という事になります。

現在の設定確認や変更の注意事項などは「PHPのバージョンを変更したい」ページをご覧ください。

※2022/10/6時点の情報です。ご覧いただいているタイミングでは新しいバージョンが提供されている可能性があります。

PHP5を使い続ける理由とリスク

PHPの各バージョンにはサポート期限が設けられており、期限を過ぎるとバグやセキュリティリスクへの対応が行われなくなります。身近な例だと消費期限的なものと捉えていただくと分かりやすいでしょうか。期限が切れた瞬間直ちに何か問題が発生するものではありませんが、潜在的なリスクを抱えることになるので、速やかにサポート対応内のバージョンを使用することをおすすめします。

特にPHP5をご利用中だった場合は、可及的速やかにバージョンを上げられる事をおすすめします。処理速度の面でも7系8系と比較して低速なうえ、サポートの終了日が最終版の5.6でさえ2018年12月31日ですので…。

PHP7.4でも安心はできない?

PHP7の最終版である7.4をご利用中でも安心はできません。セキュリティサポート期限が2022年11月28日と迫っていますのでなるべく早めにPHP8へ移行出来るように準備したいですね。

出典:https://www.php.net/supported-versions.php

PHPのバージョンを上げる際の確認方法

ここまでの話を聞くと最新版の利用が正義!と思われるかもしれません。実際、常に最新バージョンをご利用いただけると弊社としても安心です。ですが、現実は中々上手くいっていない事も知っておいていただければと思います。

下記はWebサイトでのPHPの使用統計ですが、2022年10月6日時点のデータでPHP5系が23.2%を占めているのです。ちなみにさくらのレンタルサーバの利用統計もこちらに近い数値になっています。

出典:https://w3techs.com/technologies/details/pl-php

使っている関数が上位のバージョンで廃止されてしまった等の理由でプログラムの修正を嫌っている場合や、単にメンテナンスをしていないだけかもしれません。ただ、PHP5系のサポート終了からそろそろ4年を迎えようとしている今でも利用率が2割を超えているのはあまり良くない状況だと思います。かと言って弊社側でサポート終了のバージョンは即終了といった対応は取りにくいのも事実です(サポート終了バージョンの提供終了をしない意味ではありません)。

PHPの適切なバージョンの利用率向上にはお客様ひとりひとりのご協力が必要です。Webサイトの速度向上や不要なリスクを抑えられるメリットがありますので、この機会にぜひご利用中のPHPの確認や変更を行っていただけると嬉しいです。

動作確認の方法

さくらのレンタルサーバのスタンダード以上のプランをご契約いただいている場合「バックアップ&ステージング」機能をご利用いただけます。この機能を利用すると任意のPHPバージョンを利用した状態のWebサイトの動作確認を行う事ができますのでご活用ください。

このツールでは動作不良だった場合の原因までは分かりませんので、その際は制作会社さんなどお近くの専門家にご相談ください。

さらに速く、快適になった「さくらのレンタルサーバ」

2022年2月16日より、SSD化をはじめとした機材の刷新によって当社従来サーバーと比較して5倍の高速化を実現した新サーバーを提供開始しました。WordPressといったCMSも快適に動作します。

尾崎 翔一