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さくらのホームページ教室

ドメイン名の解約はちょっと待って。悪用リスクと解約の際の注意点 

ドメイン名解約後に発生したトラブル 

2025年7月、神奈川県がかつて公式事業で使用していた7つのウェブサイトのドメイン名が、運用終了後に相次いで第三者に登録されていたことが明らかになりました。

地域観光キャンペーン「かながわ旅割」で使用していたドメイン名「kanagawa-tabiwari-coupon.com」は、利用終了後にネットオークションに売買され、 他にもイベントや観光施策で使われた「vietnamfesta.jp」「kanafan.jp」等のドメイン名が既に第三者の手に渡っていたことが確認されました。 

神奈川県では「これらのドメインを使用したサイトは本県とは全く無関係です」と注意を呼びかける事態に至っております。 

過去にはドコモの解約済みドメイン名がネットオークションにかけられるなど、自治体だけでなく一般企業の解約済みドメイン名の悪用も起こっています。 

参考: https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2309/26/news117.html

こうしたトラブルの背景には、ドメイン名を解約したあとに同じドメイン名が第三者に登録される可能性を想定していなかったことが考えらえます。 

ドメイン名解約後はどうなる? 

キャンペーンやイベントなどのWebサイトが終了したあと、 

「もう使わないし、更新費用を払い続けるのはもったいないから解約しよう」と思われる方は多いのではないでしょうか。 

実際、さくらインターネットでも「もう使わなくなった」という理由でドメイン名を解約されるケースは少なくありません。 

ドメイン名のライフサイクル 

ドメイン名を解約すると、元の利用者でドメイン名を利用できなくなる。という事はどなたでも認識されていると思いますが、 

実は「解約される」=「もう誰も使わない」という事ではありません。 

解約されたドメイン名は多くの場合、一定期間経過後、誰でも登録できる状態になります。 

登録がなくなり誰でも登録できる状態となったドメイン名は、場合によっては悪意の第三者に渡るケースがあります。  

  • gTLD(.com や .net など):約35〜75日で再登録可能 
  • JPドメイン:約30日程度で再登録可能 

ポイント

gTLD と JPドメインで再登録が可能となる期間が異なるのは、上位組織のポリシーの違いによるものです。  gTLD は ICANN の統一ポリシーに従い、一定の猶予期間や救済期間が設けられます。  一方、JPドメインは ccTLD なので ICANN のポリシーは適用されず、JPRS の独自ポリシーが適用されます。

ドメイン名解約後のリスク再登録された場合 

多くの場合、解約されたドメイン名は一定期間が経過すると、誰でも再登録できる状態 になります。 その結果、たまたま同じドメイン名を使いたい人が登録しなおすといったケースも珍しくありません。 しかしながら、悪意のある第三者に再登録されてしまった場合、以下のようなリスクが発生します。 

  • フィッシング(詐欺)サイトへの転用 
  • 同一のメールアドレスを用いたなりすましメールの送信 
  • 旧サイトを装った情報詐取やブランド毀損 

弊社の上位ドメイン管理組織となるJPRS(株式会社日本レジストリサービス)でも注意喚起されているので、是非ご確認ください。 

参考:ドメイン名の解約に関する注意 

放置リンクや印刷物・QRコードも要注意 

解約されたドメイン名に対して、古いウェブページからリンクが残っている場合、閲覧者が意図せず悪質サイトへ誘導されてしまうこともあります。 

また、解約されたドメイン名のウェブページやQRコードが記載された古いパンフレット・看板・ポスターなどの印刷物が流通し続けることも考えられます。 

ドメイン名を解約する前に考えてほしいこと 

最も有効な対策はドメイン名の継続です 

一度登録したドメイン名は、更新を続けることが最も有効なトラブル防止策です。 
ドメイン名を解約してしまうと、一定期間後に誰でも登録できるようになり、第三者による悪用リスクが高まります。 
そのため、不要となったドメイン名でもすぐに解約せず、まずは「更新を続ける」という選択肢を強くおすすめします。 

どうしても解約するときに気をつけること 

  1. 事前周知 
    • ドメイン名を変更・解約する際は、既存ユーザーへ事前告知など対外的な周知を行いましょう。 
  2. リダイレクト設定 
    • 新しいドメイン名がある場合はリダイレクトを設定し、アクセスした利用者を正しいサイトへ誘導してください。 
    • 新ドメイン名がない場合でも、「このサイトは終了しました」という案内ページを一定期間表示することで、利用者の混乱を防げます。 
  3. アクセス状況の確認に基づく、十分な期間の確保 
    • アクセス解析を利用してWebサイトに対するアクセス頻度を把握し、解約のタイミングを検討してください。 

最後に 

自治体や有名企業のWebサイトで使われるドメイン名には、その組織の信頼が強く結びついています。 

だからこそ、「不要になったからすぐ解約する」という判断は、第三者に登録され意図しない形で悪用される大きなリスクにつながります。 

このリスクを根本的に避ける最も有効な方法は、ドメイン名を更新し続けることです。 

どうしても解約が必要な場合は、十分な準備を行った上で、計画的に対応する必要があります。 

安心・安全なドメイン名の運用のためには、特にドメイン名契約の終了判断が重要です。 

更新するか、解約するか迷った際には、ブランド価値の毀損リスクも考慮した上でじっくり判断しましょう。 

執筆 さくらのレンタルサーバ
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